「リトルマン」という名前で売られている缶詰には、小人が入っている。食用の小人だ。缶切りで開けた缶にから、生きて出てくる小人だ。会話をすることもできる知性をもった食べ物が、このリトルマンという食品だ。小人の味はとても甘く、栄養価も高い人気食品だった。食べ方は、生きたまま丸のみにするのが普通だ。
でも、私は食べることができなかった。
小人自身も食べられるのを望んでいるのだが、私にはどうしても食べることができなかった。ところが、恋人が買ってきたリトルマンの一人が、食べられることを拒否したのだった。それを無理やり食べようとする恋人を私は止め、その小人を助けたのだった。
助けた小人は独立心の強い小人で、小人社会を築くのだと息巻いて同志となる小人を探し始めた。そんな小人がかわいく思えた私は、小人の同志探しを手伝うことにした。しかし他の小人達は皆、人間に食べられることを望み、新たな食い手を求めて私の部屋を去るのだった。
そうしたある日、小人が苦しみ始めた。病気だろうか?
そうではなかった。賞味期限が過ぎてしまったのだ。小人は自分の運命を悟り、食べてくれと私に懇願した。しかし私には食べることはできなかった。
「俺は役立たずなのか…」
その言葉を聞いた私は・・・