デクスターはIQが非常に高い少年。彼は家族に内緒で自分の実験室、デクスターズ・ラボラトリーを家の地下に作り、毎日そこで科学の実験を繰り返していた。秘密に、誰にも邪魔されずに実験できるはずだったが、デクスターの姉のディディには実験室の存在がばれてしまった。
ディディは快活な女の子。今日は外で凧揚げを楽しんでいた。ところが凧が高い木の枝に引っかかってしまったのだ。困ったディディ。しかし彼女にはアイディアがあった。
ディディは家の地下にある実験室で、以前弟のデクスターが物質縮小実験を行っていたのを知っていた。ディディはその装置についているダイヤルの位置を変えて、縮小装置の上に乗ったのだった。そしてスイッチオン。ディディは縮小・・・ではなくて巨大化したのだった。
巨大化したディディは難なく凧を拾い上げる事ができた。
デクスターは自分の天敵ともいえる姉のディディが巨大化して街に出かけるのを見つけた。何とかして巨大な姉の凶行を阻止しなければならないと考えた。そして阻止できるのは自分しか無いとも思った。彼は小型の縮小装置を姉に向けたのだったが・・・
(c) Cartoon Network, DC Comics, A Time Warner Enterteinment Company
解説
いつの世も姉と弟では弟の分が悪いようで、デクスターもディディには常に手を焼いています。普段から怪獣のように振る舞うディディが、この話では本当に怪獣のように巨大になってしまいます。人一倍の正義感を燃やすデクスターが、普段でさえかなわない姉の存在に一人挑戦する姿は、姉を持つ弟たちにとって共感を覚えるところでしょう。といっても憎い相手ということではありません。愛すべき家族なのです。たまには嫉妬することもありますが、家族であり、本来守るべき相手なのです。毎回周囲に起きる事件に奮闘するデクスターの姿が描かれていますが、ディディが登場する話はその奮闘ぶりが面白いといえます。その中でも、特にこの話はディディに対するデクスターの悩みが直感的に読み取れるだけに一番の面白さではないかと思います。
デクスターを中心に起きる事件の一見ナンセンスな物語の背景に、しっかりと訴えかけてくるものがあります。細部にまでこだわった設定が支える緻密に構成された物語になっているのです。こうした緻密さは、アメリカンコミックの制作手法と大きく関わっています。
アメリカンコミックの制作では、ディレクターがいて脚本家と打ち合わせて作った台本に従って、下書き、インク入れ、カラー着色、装丁など、まるで映画を作るように制作が進められて行くのです。非常に緻密な物語構成は、こうした多くの人の手が関わって生み出されています。また著作権などの考え方も日本とは大きく違い、出版社が著作権を握り、キャラクターをいつどこでどのように使うか等を決定しています。日本の漫画と大きく違う制作手法が活かされている恒例が、このデクスターズ・ラボラトリーといえるでしょう。
元々アニメ作品のコミカライズ作品ですが、全てが同じエピソードという訳ではありません。しかしこのエピソードはアニメ版にもありますので、追ってご紹介したいと思います。
記事公開日:2006.11.25
記事更新日:2006.11.25
Dexter's Laboratory No.8
発行 | DCコミックス |
初版 | 2000/04 |
価格 | $1.99(US) $3.25(CAN) |
サイズ | B5・中綴 |
CODE | 61941-21961 |
Attack of the 50 Foot Sister: Dexter's Laboratory
出版社 | Golden Books |
言語 | 英語 |
ISBN-10 | 030729952X |
ISBN-13 | 978-0307299529 |
発売日 | 2000/12 |
サイズ | 27.7 x 20 x 1.3 cm |
入手情報 | Amazonで商品チェック |
備考 | 付録付き |
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