「借りた本無くしたくらいで、なんでシカトされなきゃなんないのよ」
ありすは憤慨していた。散らかった部屋の真ん中にあるベッドに勢いよく倒れ込み周りを見回すと、そこにはかわいい人形があった。
「私の友達は・・・あんただけよ」
その時、時計の針が0時を指した。すると一瞬あたりが暗くなり、再び明るくなったときありすが目にしたのは、自分の部屋にある時計と鏡だけがある部屋だった。
「ここは、鏡の国ですわ」
ありすの背後から少女の声がした。少女が言うのには、午前0時、鏡の国の時計と外の世界の時計が同じ時刻を指した瞬間が、ふたつの世界をつなげたというのだ。
ありすは少女の顔に見覚えがあった。その顔はありすが幼いときから大切にしている人形、ジェニファーの顔だった。ありすはジェニファーと楽しい時を過ごしたが、明け方になって元の世界に戻りたいと思った。
「友達はいつも一緒にいなくては、いけませんわ」
ジェニファーは穏やかに言った。ありすは、あの時のことを思い出していた。あの時の罰を今受けているのかもしれないと考えていた。そう、幼いあの時ありすは...