Destiny Awits...

X-Patrol

あらすじ

Xビルディング。世界博覧会のために建てられた古いビルを人々はそう呼んでいた。それは、ニューヨークの外れにあり、長い間放置されていたためか、つたの絡まる廃墟ビルだった。噂によれば、最近このビルを十分なお金を支払って密かに買い取った者がいるという。しかし、誰一人このビルに出入りするものはいなかった。

ある夜のこと、無人のこのビルにひとつの人影が現れた。その人影は、ドアの脇にあるセキュリティシステムのキーボードに何かを入力していた。すると、ドアが開いた。

「なんて、センスなの。剥き出しの構造で、なんとなく冷たい感じがするわ。」

女性だった。彼女はビルの中に入ると、コートを脱ぎながら通路を歩いていった。コートの下には、体にフィットした赤いコスチュームを着ていた。彼女が通路の奥にある部屋に入ったとき、その部屋には3人の先客がいた。

その先客とは、正義感にあふれるヒーローとして有名なものたちだった。フィードマン、ビーストリング、そしてヒロインのシャッタースターファイア。そして最後に入ってきた彼女は、イラスティガール。しかし、誰一人この部屋に呼ばれた理由を知るものはいなかった。誰も理由を知らないため、ストレスがたまりささいなことから、もめだしてしまった。巨大化して、仲裁を試みるイラスティガール。

その時、暗闇から男の声がした。その声の主こそ、彼ら4人を呼び出した張本人だった。

「私の名前は、ナイルス・ケーブル。未来から来た。」

彼は、ドクター・ドームスデイによって血に塗られてしまった未来を変えるために、未来からやってきたというのだ。そして、その目的のため、特殊な能力をもった正義感あふれるものを集めてX-Ptarolを結成し、ドクター・ドームスデイを倒すことにあった。そのX-Patrolを結成するために、4人のヒーローたちが集られたのだった・・・


注)名前の綴りは以下の通り

  • イラスティガール:Elasti Girl
  • シャッタースターファイア:Shatterstarfire
  • ビーストリング:Beastling
  • フィードマン:Ferrdman
  • ナイルス・ケーブル:Niles Cable
  • ドクター・ドームスデイ:Dr. Doomsday

解説

アメコミらしい単純な設定で、ストーリーそのものにも特に注釈をつける必要もないでしょう。そもそも本作品は、マーベルとDCのキャラクターを使って新しい物語を作成しようと目論んでプロジェクトを計画。マーベルとDCの合弁でアマルガム・コミックス(Amalgam Comics)という会社を作り、マーベルとDCが交互に発行した作品群の一つが本作品です。

アメリカでは、商標や著作権を明確な契約化するため、コラボレーション企画のために別会社を用意する手法をよく用いますが、アマルガム・コミックスも、そのようにして生まれた会社です。

当然登場するのはマーベルとDCのスターキャラクターですから、この作品のキャラクターについて、ご存知の方もいらっしゃるとは思います。ですが、そのキャラクターの活躍した物語とは全く別物と考えた方が楽しめるでしょう。ただ残念ながら、X-Patrol の続きを確認する事はできませんでした。もしかすると、この1話だけなのかもしれません。

イラスティガールという名前を耳にした事がありませんか。映画「Mr.インクレディブル」の妻ヘレンの変身後の名前が同名です。イラスティの意味の通りヘレンの能力は伸び縮みする体。つまりイラスティガールとは直訳すると「伸び縮みする女」となります。もちろん本作品のイラスティガールの能力も、その名前に関係があります。

イラスティガールという名前が初めて登場するのは、ドゥームパトロール(Doom Patrol)。そのドゥームパトロールのメンバーの一人が、イラスティガールです。彼女の特殊能力は伸び縮み、正確には巨大化や縮小化が自由自在にできる能力です。彼女は縮小化して救助隊の入れないよな場所から入り人を助け出したり、巨大化して巨大ロボットと戦ったりと大活躍をします。本作品でもオリジナル同様、巨大化したり縮んで小さくなったり、その能力ぶりを発揮して見せてくれます。

ところで、桑田次郎氏の名作「アンドロイド・ピニ」の第1話のタイトル「伸び縮みする女」というのがあります。 イラスティガールと伸び縮みする女アンドロイド・ピニは、何か繋がりがありそうですが、その関連については確認できていません。

ドゥームパトロールは1963年に、「Challengers of the Unknown」というシリーズの中で短編として発表されたのが最初です。一方のアンドロイド・ピニが出版されたのは、1971年です。ということは、作者の桑田次郎氏が影響を受けた可能性もあります。しかし作品自体も共通点らしいところは巨大化縮小化できる女性が登場する点だけで、他には共通点と呼べるほどのものは見受けられません。ですから仮に桑田氏が作品のヒントに使ったとしても、全く別の作品であるという事は間違いありません。

さて、ドゥームパトロールの話は、DCから出版された「Doom Patrol」というシリーズにまとめられています。

記事公開日:2000.05.26
記事更新日:2006.12.10

X-Patrol《Vol.1 No.1》

制作 AMALGAM
出版 MARVEL COMICS
原作 MARVEL, DC COMICS
発行日 1996年』4月
価格 $1.95US / $2.75CAN
サイズ B5・平綴

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