美園るりあこと山田真澄はピンチだった。銀行から出てきた彼女の手には、残高266円の預金通帳があった。
「前借りできる原稿料は、もう借り尽くしたし…」
バイトを探すしかないかと、半ばあきらめたその時、真澄の背後で声がした。
「オオウッそれは素晴らしいィ心がけですネ♪♪」
声のしたほうを振り返ると、真澄がそこに目をしたものは、作業用ヘルメットに腹巻き地下足袋姿のマッチョな天使だった。天使の姿が自分の想像する姿とあまりにかけ離れていたため、混乱した真澄に追い打ちをかけるように、いきなり学生服の男の子が駆け寄ってきた。
「ママ!」
ママと呼ばれる身に覚えの無い真澄は、その男の子を突き放すと、男の子は悲しそうな顔を見せ立ち去った。いや、その場から消えてしまったのだ。これはこれから起きることの予兆でしか過ぎなかった。
ガ天使と名乗ったその天使は、あろうことか真澄の部屋を勝手に地上での活動拠点と定めてしまった。やがて、ネ天使が現れ、真澄の書いた小説の主人公が現れ、そして妖精が現れた。どうやら、真澄には何か得体のしれない物を引き寄せる体質があるらしい。やがて真澄の特殊体質は、さらなる災いのもとを引き寄せることになってしまうのだった・・・