ワイズマン

外薗昌也 作品

あらすじ

的場は、プロモーションビデオのディレクターとして活躍していた。今回の仕事は、観光ビデオ。完成しているのだが、今一つ何かひっかかるものがあり、的場はクライアントへの引き渡しを拒んでいた。何度も何度もビデオテープを見る的場。的場の目にあるものが止まった。

浅間冴子。そのビデオの中に、行方不明と言われている詩人、浅間冴子が映っていた。しかし、これをスクープに出来ない。なぜならそこには、浅間冴子は身長4m程の巨人として映っているからだ。このまま発表しても、合成だと言われかねない。的場は、このビデオが撮影されたアメリカの現場に調査に行くことにした。

アリゾナで的場は、ネイティブアメリカンのゴドーという男に出会う。このゴドーは謎の多い男だった。最初は的場を追い返そうとしたゴドー。しかしゴドーは、的場をコヨーテの選んだ男として、的場に不思議なものを次々をと見せていき、そして目的の人間に会わせるといってある場所にゴドーを連れていった。的場の目の前には谷が、そして谷の向こうにその人物がいるという。的場は谷を越えていき、そして見た。それは15mほどの巨人。その巨人は的場の探していた浅間冴子であった・・・(第1巻より)

不思議な現象が世界で起きていた。冴子と葉子。そしてゴドーと的場。出会いは運命的なものであり、そしてその出会いこそがグレートワイズマンを完成させる。グレートワイズマンこそが、地球を癒すことができるというのだ。グレートワイズマンを完成させる最後の戦いが、ゴドーと的場によって開始された。

そして浅間冴子は現れた。世界中の都市と呼べる場所に同時に現れた。何者も寄せ付けない巨人。それが冴子の姿だった・・・

解説

マニトウ。

ネイティブアメリカンの神の住むところ。それをマニトウと彼らは呼びます。浅間冴子が巨人になっていく場所と、このマニトウという言葉がオーバーラップするのは、ネイティブインディアン・ゴドーの存在によるものなのでしょうか。それにプラスして、マニトウという映画が、このワイズマンという作品に重なるようにして思い出されました。そう言えば、エヴァンゲリオンと似ているところもあります。

人間とは、いかようなものなのでしょうか。そして、その未来には何があるのでしょうか。そうした疑問は、多くの賢者たちによって議論され、そしてこれからも論議を呼ぶテーマであるといえましょう。それをネイティブアメリカンの精霊信仰と結びつけ描いたのが、このワイズマンです。それだけではなく、仏教やキリスト教など多くの宗教を取り込んで、ひとつの宗教観とにも等しい、人間に対する解釈を与えてくれる作品になっています。

地球に対して危険なほどに力を持ち、それでいて赤子のように独り立ちできない人間。それを補完する存在としての精霊。不透明な未来像。そうしたものを人間代表とも呼べる的場という男を通して見せてくれます。この作品では破壊と創造の象徴として女性が登場しますが、そうした女性観はインドの神シヴァ神や弥勒菩薩を彷彿とさせる所があります。そして、巨大な女性に取り込まれていく都市を描いた連載最後のカラーカットが、その印象を決定づけしてくれます。

記事公開日:2001.05.06
記事更新日:2004.09.17

ワイズマン《全4巻》

発行 講談社
価格 500円(第1巻)
520円(他)
サイズ B6・平綴
第1巻 ISBN4-06-314084-9
初版1994年6月23日
第2巻 ISBN4-06-314098-9
初版1994年11月22日
第3巻 ISBN4-06-314114-4
初版1995年6月23日
第4巻 ISBN4-06-314121-7
初版1995年11月22日
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