輝く流れる星と同化して得た力。そうして得た力が巨大化ですから、ウルトラマンのパロディと言ってしまうのは簡単です。が、すでに多くの作品が輝く流れる星から力を授かることを巨大化のための記号として使っていて、それだけでウルトラマンのパロディと決めつけるのは少々乱暴だと最近は思うようになりました。巨大化能力をどのようにして得たのかは、むしろあまり重要じゃなくて単なる記号的にウルトラマンが使われているように思えるのです。
突如巨大化した女の子が怪獣と戦う話はありますし、巨大なだけで他に取り柄の無い女の子という設定も、今ではさほど珍しさはありません。これが10年前なら、巨大少女というだけで珍しく新鮮な作品として受け入れられたと思います。そうした新鮮さはありませんが、逆に期待を裏切らない面白さがこの作品にはあります。商業誌にしてはマニアックな巨大娘のツボを押さえた作品だと言えます。
ほのぼの系の可愛い女子が、巨大化して大怪獣と直接対決。街を守るためではなくて、先輩を守るために頑張る一途な少女の思い。彼女には必殺技は無く、怪獣から白い粘着性のある液体をかけられたり、野次馬達にアオリアングルでパンツを撮られたり、一方的に怪獣に蹴られたり…。マニア心を良く分かってらっしゃると言うべきか、一般的に見て少数派であろう読者のために思い切って巨大娘を描いてくれたことに感謝したいと思います。
ところでネタバレになりますが、彼女は巨大化したまま終わっています。その後の彼女が気になるのは、私だけではないはずです。
注:この記事は単行本発売前の雑誌掲載時に書かれたものです。引用した画像や解説は、雑誌掲載時のものになります。