今宮家では、今日も厳しい修練が行われていた。ジンは、祖父の指導の元、古武術の稽古に励んでいた。
「あンの、じじい〜〜。毎日、遠慮なくぶん投げやがって!」
一日の稽古が終り、道場から引き上げるジンの目の前に、クマの人形が転がっていた。人形は、ジンの妹のカオリの部屋から廊下に転がり出てきたものだった。何事かと妹の部屋をのぞき込むと、部屋中をひっくり返して何やら物を探しているカオリがいた。カオリは、大切にしていたブローチを探していたのだった。
「ブローチぐらいで大騒ぎするな!まるで怪獣じゃないか…」
ジンの言葉に傷ついたカオリは、目に涙を浮かべながら部屋を出ていってしまった。
カオリの無くしたブローチは、カオリにとってかけがえのない思い出の品だったのだ。しかもそれは、ジンとの思い出の品だったのだ。
「ホントに怪獣だったら、お兄ちゃんなんかムギューってふんづけてやるのに!!」
その時、カオリの口から出た「怪獣」という言葉に反応した、2人の影があった。
「アナタ…。怪獣ニ、ナリタイノデスカ?」
そのころ家で、ジンは祖父から、今宮家の秘密について説明を受けていた。なんと、ジンの祖母は宇宙人で、悪い宇宙人から地球を守るためにやってきたというのだ。そして、ジンの祖父と結婚したのは、地球を守る戦士を育てるためであったというのだ。
つまり、ジンが地球を守る戦士だというのだ。
そのようにジンが祖父から説明を受けていると、カオリの友達が家に駆け込んできた。慌てる友達の言うことがよく飲み込めないままに、窓の外を眺めると、そこには巨大化した妹カオリの姿があった・・・