とある村はずれに、おばあさんと少女が二人で住んでいました。少女の名前はメラニー・ミラクーリ。メラニーの両親は、遠い国を回って植物の種を集めているため、おばあさんと二人で住んでいるのです。メラニーは想像力豊かな少女というだけでなく、魔法が使えました。もっともちゃんと習ったわけではなく、魔法使いであるおばあさんが魔法を使うのを見て覚えたので、思うように使えるということではありませんでした。
ある日おばあさんは、掃除の最中に魔法を失敗して大変なことになりました。物を遠く離れたところに飛ばしてしまう魔法だったのですが、まちがって自分を飛ばしてしまったのです。メラニーが外から帰ってきたときには、すでにおばあさんの姿は家にありません。事情を知らないメアリーは、突然おばあさんが居なくなったので心配しました。でも、メアリーに一体何が出来たというのでしょうか。メアリーは、村はずれの小さな家で、おばあさんか両親が帰ってくるのを待つしかありませんでした。
おばあさんが居なくなってしまった翌日、郵便屋のフランツさんがやって来ました。おばあさんの受け取る年金を届けに来たのです。年金がなければメアリーは家を守っていくことが出来ないのでしたが、年金を受けとるにはおばあさんのサインが必要でした。困ったメアリーは、混乱のあまりひとりごとのように呪文を唱えていたのです。するとどうでしょう、フランツさんの体がみるみるうちに小さくなってっしまったのです。そして、とうとう手のひらくらいの大きさになってキイキイと小さな声で叫んでいました。フランツさんが驚いたのは当然ですが、メラニーも同じくらいに驚いていました。しかしどうしても元に戻す呪文が思い出せません。おばあさんが戻るまで元に戻れないと観念したフランツさんは、メアリーの人形の家でおばあさんの帰りを待つことにしました。
翌日、こんどはおまわりさんがやってきました。郵便屋さんのフランツさんを探してこの家までやってきたのです。おまわりさんは家の納屋にあるフランツさんの自転車について、メアリーにしつこく質問をしました。困ったメアリーは混乱のあまり、またもひとりごとのように呪文を唱えてしまいました。おまわりさんの体がみるみるうちに小さくなっていきました。おまわりさんは怒って叱りつけましたが、メアリーにはキイキイという小さな声にしか聞こえませんでした。フランツさんは「仲間入りだね」といって、人形の家に住むようにおまわりさんに言いました。しかしおまわりさんは、メアリーの手に乗せられて人形の家に入ることを嫌がったのです。しかし結局は、人形の家のソファで、おまわりさんとフランツさんは今後どうするかを話しあうことになりました。
次の日、なんとメアリーの学校の先生がやってきました。メアリーの先生は、女の人でメアリーが最近学校の授業中に上の空になっていることについて、おばあさんと話しをしたいと思ってきたのです。メアリーが困っていると、先生が部屋の奥によくできた人形を見つけ手に取りました。先生が手にしているのは実は小さくなったフランツさんでした。フランツさんは人形のふりをしていました。次に先生は、おまわりさんを手に取りました。おまわりさんも最初は人形のふりをしてましたが、やがてこらえきれなくなって、先生に向かって文句を言ってしまったのです。先生が驚いているところに新聞記者が現れて、困ったメアリーは混乱のあまり、またもやひとりごとのように呪文を唱えて・・・