真夏の堆肥祭りの夜のこと、街中が祭りに酔いしれているとき、遥か地平線の彼方から巨大な影が街に近づいていた。その巨大な影は街の入口に立ち、人々の遥か頭上から大きな声で言った。
「もう、お腹がぺこぺこ!」
街中の人々が驚き見上げると、そこには身長が15mはあろうかという巨大な女の子が人々を見下していた。そのとっても大きな女の子の名前はミニといった。
「静かにしてくれ!今、わしが演説しているとこなんだぞ!」
驚いてミニを見上げる群衆をかき分けて、前に進み出た小太りの男がいた。彼は街でバーガーマスターと呼ばれた男で、ちょうど彼が演説をしようとしたとき、ミニがそれを邪魔した形になったのだ。彼女は、その大きな手でバーガーマスターをつまみ揚げると、一口に食べてしまった。それだけではなく、彼女は大きな袋の口を広げて、片っ端から人々を放り込んでいったのだった。
ちょうどそこに、家の窓から一人の男が飛び出してきた。その男はミニの足もとに出てきた格好になったのだが、ミニは巨大な足を器用に使って、その男を足の指で挟んで捕まえてしまった。無論、その男もミニの巨大な袋に詰め込まれてしまったのだった。
その男は泥棒で、ちょうど仕事を済ませて家の外に出たところが、ミニの足もとだったのだ。彼は真っ暗な袋の中で短剣を取りだすと、巨大な袋の底を割いた。そして袋から見事に脱出したのだった。脱出した後、彼は少し余裕が出て、ミニに見つかっていないことを確認すると、持ち前の好奇心を発揮して物陰に潜んでミニが何をするのかを見ていた。
ミニは着替えを済ますと、袋から一人つまみあげてジャムの瓶につけたかと思うと、巨大なパンに挟んで食べてしまったのだった。あまりの恐ろしさに男の好奇心はしぼみ、その場を逃げ出そうとした時、小枝を踏みつけてしまった。ミニはその音を聞き逃すことはなかった。ミニは男を捕まえると、先ほど人を食べたときと同じように、男をジャムにつけパンに挟んだのだった。
朝を迎えた街は、昨日とは様変わりしていた。ミニが街の建物の多くを破壊してしまったのだ。人々は街の復旧に取りかかっていた。そこに男が現れた。ミニに捕えられたはずの泥棒だ。男が無事に戻れたことを素直に喜ぶ街の人々。しかし、驚くべきことはそれだけではなかった。その男はミニを連れてきて、街の復旧作業をミニに行わせ始めたのだった・・・