朝、いつものように夫のボブを起こすマリー。起き上がったボブは、なんとスーツ姿。寝巻きに着替えずに寝込んだ夫を避難するマリー。ところが、自分自身もドレスのまま寝ていたのだ。二人がいる寝室を改めて見回すと、そこはニューヨークの自宅ではなかったのだ。昨夜のことが思い出せない二人。気を取り直して電話を探した。
ボブが受話器を取ると、受話器どころか電話器ごと持ち上がった。受話器と電話器は一体で作られていたのだ。配線すらされていない作り物だ。それどころか、家にあるものは全て作り物で、機能しないものばかりだった。気味の悪くなった二人は屋外に出てみた。
誰もいない街。樹木や庭の芝生、木の枝にいるリス、通りに止めてある自動車。どれもが作り物。本物ではなかった。歩き回る二人の耳に、時折聞こえてくる女の子の笑い声。しかし姿は見えない。いらだちながらも、二人は駅を見つけた。
列車に乗った二人は、これで無気味な街を出られると、ほっと一息。しかし列車は同じところをぐるぐると回るだけだった。街には人がおらず、その街からもでることができない二人。再び無人の街をさまよう二人の頭上に現れたのは、巨大な手だった・・・