モントリオールの古いアパート。真夜中に1人の男が入っていった。彼は自分の書き上げた原稿について編集者に意見を聞きに来たのだ。そして編集者の部屋に通された男は、この話は実話だと言っていくつかのレポートについて話はじめた…
実例2「ケベック州1975年」より
ひとりの女の子がある家に引き取られた。彼女の名前はルーシー。ルーシーの両親が亡くなったので母の姉にあたるジョーンの家にひきとられたのだ。
ルーシーにはウェリントンという友達がいた。ウェリントンは見事な黒猫だ。ルーシーはウェリントンと話が出来ると信じていた。彼女はわずかな荷物と黒猫と本しかなかった。本、それは魔法とタロットカードの本だった。それはルーシーの母の本だった。
ジョーンにはアンジェラという娘がいた。アンジェラは傲慢な娘で、自分の方が年上で大きいことからルーシーやウェリントンを思い通りにしたいと考えていた。
2人は、よく離れで絵を描いた。ウェリントンは格好のモデルだった。大抵の場合ウェリントンはおとなしくしていたが、アンジェラにはなつかなかずウェリントンは逃げ回った。江ノ具を床にこぼしたのはアンジェラだったが、ジョーンに見られたときウェリントンのせいにしてしまった。
アンジェラは、何かというとルーシーをいじめるようになった。それにジェーンもルーシーをあまり良く思っていなかった。動物が嫌いだったジェーンは、夫にウェリントンを捨ててくるように言った。そして、ルーシーの本を焼いてしまったのだ。
その夜、ウェリントンは家に戻ってきた。ルーシーはウェリントンがジェーンに見つからないようにしないと考えたが良い方法がない。その方法はなんとウェリントンが教えてくれたのだった。本当の魔法の本は枕の下に置いてあり、ジェーンも見つけることはできなかったのだ。ルーシーは黒魔術の本を手に取ると、離れに向かった。
離れに明かりがともるのを見たアンジェラも離れに向かった。離れにはルーシーがいた。床にはチョークで奇妙な円が書かれていた。それは魔方陣だった。ルーシーがチョークの絵を踏まないでというので、アンジェラはわざと円の中に立った。それこそがルーシーの待っていたもので、アンジェラが円の中に入るやいなや呪文を唱え始めた。するとアンジェラの体はしびれ、やがてアンジェラは小さく縮んでいった。