家の外に怪しい人影が。その影は人間のものではなかった。家の外に立つその影は宇宙人だった。
「とうとう来たわね!!」
家の中には、少女が3人いた。少女らは、この日が来ることを知っていたかのようだった。次の瞬間、家は大音響と共に、跡形もなく吹き飛んでしまった。
広い格納庫には美しい姿の飛行機が1機格納されていた。いや、それは飛行機ではなく宇宙船だった。
「とうとう宇宙人達も表立って動きだしたわね。」
宇宙船を見上げながら、長女の光保(みつほ)が言った。
「やつらよっぽど、この超光速ロケット、スターライナーが怖いのね。」
光保の後ろに同じように宇宙船を見上げながら立っていた次女の光破(みつは)が言った。そしてその横には三女の光香(みつか)がいた。
「そりゃそうよ父さんの形見だもん。」
光香は父を尊敬していた。それは長男の光四郎(みつしろう)それに次男の光五郎(みつごろう)も同じであった。
輝月(きづき)家はすでに両親はなく、姉弟が力を合わせて父の研究成果であるロケットを宇宙人の手から守っていたのだった。このロケットは光の約300倍のスピードで飛ぶことが出来る画期的なものだったが、始動することはなかった。始動させるためには姉弟の体に隠された秘密を解かなければならなかった。
家を失ったものの、秘密の格納庫を基地として、全国に秘密を解く鍵をもとめて放浪することを決意した姉弟達だった。しかし・・・
ポプリクラブ 1990年7月号より
第4話 巨星獣対ジャイアントバスター
完全な機体となったスターライトは、自衛隊の基地に運びこまれた。自衛隊の資金や私設の援助を当てにしてのことだった。自衛隊の援助を得て、2号機の建造にも着手した。
宇宙人は何としても地球征服の計画のじゃまになるスターライトを破壊したかった。そして、巨大な星獣「巨星獣」を送り込んできた。これまでの星獣は人間とさほど代らない大きさだったが、今度のは巨大だった。スターライトが格納されている基地内のどの建物よりも大きかった。
光破はシルバスターとなって立ち向かったが、大きさ、パワーがケタ違いで、全く歯が立たなかった。自衛隊も攻撃を始めたが、巨星獣は自衛隊の攻撃をものともせず、まっすぐにスターライトに向かっていった。その時・・・
「とまれーっ!!それ以上近づいたらゆるさないから!!」

光破はスターライトのコックピットの上に仁王立ちになって叫んだ。無視して向かってくる巨星獣。光破は巨星獣に破壊されるくらいなら自分の手で破壊する決意をし、スターライトに向かってビームを発射した。
轟音と共にスターライトは大爆発した。爆発に巨大な巨星獣も吹き飛ばされ、数百メートルも離れた川にまで飛んだ。そして光破は・・・
光破は巨星獣と一緒に飛ばされたらしく、川から姿を現した。その姿をみて人々は驚いた。なんと光破は、巨大化していたのだ。
巨大化した光破の体は、巨大な巨星獣と比べても遜色のない大きさだった。スターライトのエンジンに使用されていた光子力エネルギーの影響だろうか、実に見事に巨大化した光破。服は、おそらく巨大化の時に破れてしまったのだろう、光破は全裸だった。
しかし裸を気にする間もなく、巨星獣が光破を襲った。

ポプリクラブ 1990年10月号より
作品について
特撮ものがお好きな方は気がつかれたかもしれませんが、光破が巨大化できるようになるエピソードはテレビ番組「シルバー仮面」のものです。当初、等身大の変身ヒーロであったシルバー仮面ですが、あるエピソードにより巨大化もできるようになりました。視聴率獲得の苦肉の設定変更が奇しくも、変身した後でさらに巨大化するという他にない魅力をシルバー仮面にもたらしました。そのエピソードをそのままシルバスターに持ち込んでいます。
こうしたことからも判るように、各所に特撮もののパロディがちりばめられ、黎明期の特撮テレビ番組がお好きな方には堪えられない魅力が満載された作品になっています。しかしパロディだけの作品ではありません。コメディとシリアスを織り込んでオリジナルの作品に仕上げてあります。