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フェムフォースの世界

2003.03.24

アメリカンコミック

 アメリカンコミック。通称アメコミは、日本の漫画とは全く異なる形式を持っている。漫画の感覚で読むことは出来ない。これはその製作方法や作品への考え方が異なるためだ。もちろん従来の感覚から脱皮したいと考える作家も多く、スタイルとして日本の漫画が参考にされることもある。しかし、制作方法やキャラクターに対する著作権の考え方の違いから、日本の漫画と同じ作品は生まれにくい。

 アメコミに登場するキャラクターの著作権は、制作会社に帰属する。もちろん作品そのものの著作権は作家にあるわけだが、キャラクターそのものの著作権は会社が所有する。例えばスーパーマンはDC社、スパイダーマンはマーベルコミック社というように、会社が意匠権とともに著作権を有している。

 スーパーマンとスパイダーマンを同じ作品に登場させたいこともあるだろう。しかしキャラクターの意匠をライバルに貸す会社はほとんどない。そこで別の法人を作り、そこに意匠を委託して制作させるのが一般的だ。

 日本の漫画では作品の著作権を持っているのが一人であることが多いが、アメコミでは大抵複数だ。手塚治虫以来、アシスタントを使って作品を仕上げてはいるが、その場合でも著作権は一人であることが多い。これは制作過程の違いからくるもので、アメリカでは大抵プロデューサーが、どのキャラクターで誰に脚本を書かせ、絵の下書きは誰で、ペン入れを誰にやらせるといった具合に、まるで映画の制作のような展開で作られるのが普通だ。もちろんイメージ社のような例外もあるが…

 そうしたことから同じキャラクターでも、全く雰囲気の異なる絵柄が存在することになる。こうしたアメコミになじめないのは、何も日本人ばかりでなく、大半のアメリカ人もなじめないのである。日本のように書籍の40%が漫画だというのも異常だとは思うが…

 このようなアメコミの楽しみ方は実に多様で、このキャラクターが好きというのから、この脚本家とこのインカー(ペン入れする作家)がいいんだというようなマニアックなものまであり、日本のものとは大違いである。

 さてそうしたアメコミに、興味深いシリーズがある。それがフェムフォースだ。

フェムフォース

 AC社という、日本ではあまり聞き慣れない出版社がある。フェムフォースはそこの看板シリーズである。簡単に紹介すると超能力を持ったマッチョな女軍団がフェムフォースである。こう書くと色気も何にも無いが、セクシーグラマーなヒロインたちなのである。

 このヒロインたちは日本のなんとかレンジャーたちとは違い、司令官はいないし秘密基地もない。リーダーの統括のもと、個々の判断で正義の味方をするのだ。しかも時々巨大変身したうえ、街中で大暴れをしてしまうメンバーもいるからもの凄い。とんでもないのである。

 全編を通してみると、巨大化できるヒロインが何人かいる。全員が毎回登場する訳ではないし、登場しても巨大化しないこともある。こうした背景には、メンバーの数が多い上に、読み切りの短編がほとんどだからシリーズに亘ってのパターンもないためである。

 短編読み切りが多いのは、ありがたい。なぜなら、興味の無い話や好きでもないキャラクターの話を端折って読めるからだ。もちろん、日本ではほとんど手に入らない事情でも、とりあえず単発なら買いやすい。

キャラクター紹介

 何人か巨大化できるキャラクターがいるので個別に紹介しよう。

ガルガンタ

ガルガンタ

 フェムフォースの中で一番出所が明らかな巨大ヒロインがガルガンタだ。他の巨大ヒロインたちは、どうも巨大化の理由がうさん臭い。とはいえ、フェムフォースのメンバーという訳ではなく、協力者に位置づけられている。

 ガルガンタというのは変身後の名前で、変身=巨大化ということでもない。変身前は、キャロル・へスラー博士という立派な経歴を持った女性である。彼女は若返って力をつけることのできる薬を開発していたが、若返りたいがために自分で薬を試してしまったのだ。ちなみに博士は、それなりのお歳を召した方で見た目も年相応。そんな博士であったが、薬を飲んで見事に若返った。しかし若返ったのは良かったが、10倍ほどに巨大化してしまうのだ。その上、薬の影響で半狂乱で街中で暴れまくるおまけ付き。フェムフォースのメンバーに取り押さえられて、とりあえず一件落着。

 その後、彼女はグラマラスな金髪女性に。つまり変身しっぱなし。しかし薬の副作用が残り、情緒不安定なうえ、大きさまで不安定。まるで生きた爆弾。危険な香りのする金髪女性は、結局フェムフォースの正式メンバーにはしてもらえなかった。でもシリーズには良く登場するし人気もある。

 アメリカ南部では愛称にビッグを冠に名字の頭文字つけたものを使うことがある。これにちなんで?か、時々ビッグGと呼ばれたりすることがある。その呼び名どおり、ビッグなキャラクターであることは間違いない。

タラ

タラ

 タラも、人気は高い。タラ・フリーモントは大金持ちのお嬢さんだが、なぜかジャングル育ち。しかもそのジャングルには巨大な恐竜が住んでいるというおまけ付き。その恐竜相手をしているうち、巨大化できるようになったらしい。これを読んでいるあなたも巨人になりたいなら、恐竜と取っ組み合いすればなれるのだ。為になる話だ。

 タラはかなり気性が激しく、悪人には容赦ない。巨大化しなくとも背の高い彼女は、シュワルツネッガーやスタローンも目じゃないほどに強いので、めったには巨人にならない。それでも面倒だと見るや巨大化し、遠慮なく叩きのめすのだ。とにかく強いのである。巨人となった彼女のデコピンは超強烈。しかしデコピン一発で伸すだけでは物足りず、踏む捻る握りつぶす、とにかくやりたい放題徹底してやるのだ。巨大化したタラにプロポーズした悪人がいたが、まちがいなくマゾに違いない。

ナイベル

ナイベル

 魔法に近い超能力を持ち、巨大化することもできる。力で押しまくるタイプではないので、ガルガンタやタラのように取っ組み合いはしない。大抵は巨大化しない。次元を操る能力を持って問題を解決することが多い。

 誰かが巨人になっていると、何故か巨人になってしまう。なので彼女が巨大化するときは、巨大女性がわいわいといるコマが続くことになる。

シン

シン

 一番おちゃめな巨大ヒロイン。何か事件で巨大化することは滅多になく、巨大化する必要のないときほど巨人となって登場する。どうやらあまのじゃくな性格のようだ。

 悪気の無い、それでいて悪戯好きなな性格が、彼女のトレードマークである。なので巨人で登場したときも、当然この性格。なので巨人の彼女にとって、街はまるでおもちゃの国となる。

ライダ

ライダ

 フェムフォース本編では巨大化しない。巨大化するのは番外「Rayda」シリーズ。もともとこのキャラクターはフェムフォースの正式メンバーではなく、ガルガンタ同様、フェムフォース協力者。こうした協力者をフェムフレンズと呼ぶ。

 物語では、ライダ本人にもよく分からないうちに巨人になる。どうやらライダの危機を救うべくシンが巨大化させたらしいのだが、しかしどういった理屈で巨大化できるのだろうか。おそらく書いた脚本家も知らないのでは・・・

女優

女優

 名前は不明。巨大化して暴れる女性を扱った映画を、実際に巨大化して撮影。その時巨大化する女優が左の絵の彼女。とんでもない話だが、こういう撮影話はこのシリーズこれで2度目。ハリウッド謹製特撮映画がCGぽくない理由は、こうだったのだ。なんてね。

 巨大化は、ガルガンタの巨大化原因となった薬を盗んで利用。映画制作の話自体が悪だくみそのもので、彼女はその犠牲者であると言える。その一方で怪獣のようになった彼女。ハリウッド女優らしい色っぽさを振りまきながら、ビル街を闊歩する姿が印象的。

巨人キャラクター

 巨人が登場する巻を表にまとめた。特にガルガンタ、タラ、ナイベル、シンについては、登場の有無と巨大化するかについても表に組み入れた。なお、4人の他の登場人物が巨人のエピソードもある。
 なお通番にない号は巨人ネタはない。また空欄は未確認事項。判り次第埋めていく。

通番 本タイトル 掲載作品名 ガルガンタ
タラ
ナイベル
シン
1 Femforce Trek for the Time Twister!
2 Femforce A Genteman Named Ripjaw!
5 Femforce Attack of the 50ft.?
8 Femforce up-close Giant Tara & Garganta inside!
9 Femforce up-close Synn of the Femforce
10 Jungle girls Tara of the jungle.
30 Femforce Garganta!
32 Femforce The return of Garganta the 50ft. woman!
43 Femforce Gamazon form Galaxy G!
45 Femforce A too tall tall.
48 Femforce Rad vs. Rad
The eleventh hour!
The final hour!
49 Femforce
50 Femforce
52 Femforce in the Clutches of the Claw! (3)
58 Femforce Microman
63 Femforce Assauit of the 60foot woman!
64 Femforce
65 Femforce My sister my enemy!
66 Femforce
71 Femforce Darkfire Returns!
73 Femforce 調査中
74 Femforce
75 Femforce Red!
76 Femforce
77 Femforce I was mauled by "AKWAA" the walking wall of water!!!
84 Femforce An eye for eye... anose for a nose! 調査中
85 Femforce
88 Femforce Las Vegas Leviathan!
Attack of the 70 foot Stella!
89 Femforce Terror at the terminal!


90 Femforce Deadly Quarry!


96 美人アルカディアFemforce Mangled by the claw!

99 Femforce Queen of other space!
100 Femforce Full circle
101 Femforce the yesterday syndrome SynnzilLa
102 Femforce the yesterday syndrome The big deal!
103 Femforce the yesterday syndrome
104 Femforce Return from the ashes!
105 Femforce
106 Femforce
113 Femforce Gorgane at the giant!
114 Femforce Lost at sea Garganta
115 Femforce Femforce in the artiste!
説明 ●:巨人として登場
△:登場するだけ
-:フェムフォースとは全く別のエピソード

特記事項
No.1、2 ヒロインの巨大化はないが背が2倍くらいのアマゾネス軍団登場
No.11 表紙のみ巨大ナイベル
No.30 ガルガンタ登場のエピソード
No.52 珍しいこびとネタ。しかし1ページのみ。
No.58 本編には登場しないがゲスト作品にミクロマン登場
No.63、64 巨人の話である上にミクロマンも登場
No.65 巨人話ではないが、次号でタラの巨大化へと続くエピソード
No.76 ヒロインの巨大化はないが敵役が男の巨人
No.88 おまけイラストに70フィートの巨人美女
No.96 タイトルに何故か日本語が使われている
Synn Watch
No.2
ストーリー的に巨人は登場しないので上記の表にはないが、イラスト、記事に巨大女ネタがあるので特記しておく。

注:文中の敬称は省略させていただきました。