バイオレンス・ポリス・アクション
吉岡平 作
森伸之 イラスト
公開日:2001.03.09
更新日:2004.09.17
■あらすじ
■プロローグ舞美は困っていた。目の前には銀行強盗。そして舞美は婦警だった。
婦警とは言っても舞美の場合、就職口のひとつとしての選択でなった警官である。茨城県片原板市、人口8万2千538人(平成3年3月現在)の地方都市では、高卒の女子にとって手取り14万飛んで800円はとても魅力的だったのだ。その大切な給料が目の前で強奪されようとしていた。そして舞美は婦警だった。
犯人達は警察の包囲網を突破するために、舞美を人質にしたのだった。犯人達の乗った車は山道に入ったところで、追っ手のミニパトに追いつかれた。ミニパトの癖に異常なスピードで追ってくる。運転しているのは舞美の同僚のゆり子だ。ミニパトを振りきろうと無理な走りをした犯人達の車は、カーブを曲がりそこね、谷に向かってガードレールを突き破った。
車は谷に落ちて爆発。しかしゆり子は報告書にも書けないような、もっと驚くことを出来事を目撃したのだった・・・
(事件簿1・かなりきわどいプロローグより)
■事件簿5・愛こそすべてだったりして…
筑波山も根こそぎ揺れるような地震が、茨城県片原板市を襲った。
そのとき片原板署警察署長はずぶぬれだった。署長と岩田警部は、渓流でヤマメ釣りを楽しんでいたのだったが、地震の揺れのために署長は川に落ちてしまったのだった。
署長はずぶぬれになり、釣りを楽しむような気分にはなれなかったので、切り上げて帰ろうとした、そのときである。何気なく見上げた所にあるはずの空はなく、空ではないなにか別なものを見たのである。それは、山のようにそびえる怪獣だった。
日本が世界に誇る怪獣学の権威は、見るからにマッドサイエンティストの姿。それが、賎ヶ谷博士だった。
「間違いない怪獣ドラグマじゃ」
博士の説明によると、恐るべき怪獣なのだ。この恐るべき怪獣の前に自衛隊も赤児同然、まったく歯がたたなかった。誰もが駄目だと思ったそのとき、自衛隊の陣を突っ切っていく者がいた。舞美である。舞美は怪獣の前に来ると眩い光を放ちながら巨大化したのだった・・・
イラスト:(c) 森伸之
■解説
まるで漫画を読むような軽い感覚の小説です。そして挿絵も漫画的な技法の挿絵。描いているのは森伸之氏で、東京女子高制服図鑑の著者として有名なイラストレーターです。そのほかにも様々な制服のイラストを発表している森氏。この作品にまさにふさわしいイラストレーターです。とはいえ、銃火器や戦車は苦手ということで、かなり苦労されたようです。
吉岡平氏は、宇宙一の無責任男シリーズの著者であり、こうした軽いテイストの作品を次々と発表している小説家です。この方は作品のキャラクターに入れ込むようで、どの作品でもキャラクターが先に立ってストーリーを引っ張っています。特にこの舞美はお気に入りのようで、生き生きとした舞美の描写からその思いのほどが伺えます。
さて、怪獣の前で巨大化した舞美ですが、ウルトラマンのように戦うわけではなく、吉岡氏らしい展開で怪獣を処理します。あまりにあっさりとした方法で、それまで盛り上げに盛り上げていた雰囲気を一刀両断に笑いものにしてしまいます。えっ、どうやって怪獣を始末したのかって。それを言ったら、まちがいなく舞美ちゃんに踏みつぶされちゃいますね。
■婦警さんはスーパーギャル《第1巻》
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