玉越博幸 作品
公開日:2001.08.08
更新日:2004.09.17
■あらすじ
小さい頃きっと白馬の王子様が私を迎えに来てくれると信じていた。 小さい頃王子様が愛のキスで私を目覚めさせてくれると信じていた。 (本文より引用)
花咲カレンは、幼い頃から恋に恋する乙女だった。そんな彼女が出会った王子様が萌紀だった。しかも相思相愛、萌紀はカレンの返事を待っていたが、そんな萌紀にカレンはなかなか返事が出来ないでいた。
返事が出来ないでいた理由は、カレンの父であった。カレンの父は娘かわいさのあまり、男子との交際を固く禁じていたのだった。そんなカレンに返事を迫る萌紀。カレンが返事に詰まっていたそのとき一機ののヘリコプターが着陸すると、そこからカレンの父が降りてきて、いきなりカレンを連れて行ってしまった。
父がカレンを連れて行った先は、父の勤務する国連特殊機関所属地球保安基地だった。カレンの父はそこの最高責任者だったのだ。そして今地球は巨大な宇宙人の挑戦を受けていたのだ。
宇宙人ツェルウェルと名乗る巨大な宇宙人は、地球に対して戦いを挑み、そしてもし地球が負けたなら地球をロスト、消滅するというのだ。
「アイツと戦ってくれ!!」
無謀にも父はカレンに宇宙人と戦えというのだ。すでに地球の考え得る兵器は役に立たないことが判明し、残る手段は相手と同じ大きさになって肉弾戦しかないというのだった。そして父はカレンに物質拡大装置A・B(エンジェル・ブラスト)を見せた。A・Bを使い、カレンが50mの巨人となって宇宙人と戦うしかないと父は言い切った。そして今テスト段階にあるA・Bにはカレンのデータしか入力されておらず、つまり世界中でたったひとり、カレンだけが巨大化できるのだという。
このままでは、地球が無くなってしまう。そしてそれは王子様萌紀との恋も無くなってしまうことを意味することになる。しぶしぶ承知したカレンは巨大化して宇宙人の前に立ちはだかった・・・
■解説
王子様やサンタクロースというものは、いったい何歳くらいまで信じるものなのでしょうか。幼い頃のあこがれというものは捨てがたいものがあり、幻想だと判っていながらも王子様を待ちこがれる気持ちも判ります。そうした純真な女の子を巨大化させてしまう親。なにかどこかで見たようなシチュエーションが続きます。
全体的には新世紀エヴァンゲリオンのパロディです。これにさらに多くのパロディを加え、巨大人型兵器それから巨大ヒーローものの総括的なパロディにしています。さらに玉越氏らしい失恋の話"を入れ、カレンの純真さを強調しています。その一方で、戦うほどに街があれていく様は、巨大娘を扱う話のお手本のようで、期待通り?のストーリー展開。前半のSF的な雰囲気をことごとく否定していく後半。それは玉越氏らしいクライマックスへの流れです。そしてそれではあまりにも味が薄いオチになると思ったのか、最後の最期にちょいと味付けを加えてあります。実に玉越氏らしい、可愛い女の子でラブコメそれに必殺のパンチラのまんが作品です。
ところで玉越氏の代表作といえばメジャーデビュー作でもある「BOYS BE・・・」ですね。爆発的な人気とは言えないまでも、根強い人気に支えられている作品であることは間違いありません。イタバシマサヒロ氏が原作を書き、玉越氏の絵があったこその人気といえます。しかしその「BOYS BE・・・」も終わり、これからが玉越氏の勝負どころであるといえそうです。これまでの作風を踏襲するも良し、メジャーデビュー前のファンタジーでも良し、全く新しい作風に挑戦するのも良し、いずれにせよ「BOYS BE・・・」とは違った玉越氏の世界を見せて貰いたいと思っているのは私だけではないはずです。
■玉越博幸の。Boys be ambitious!
[img]■増刊少年マガジンFRESH《2001GW特大号》
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