第2話 メルヘンなんか大っきらい
いのうえ空 作品
公開日:2004.09.17
更新日:2007.05.05
■あらすじ
神楽崎風子は2人の「非常識」な下宿人に振り回される不幸な女子高生。平和な日常を送れることを願いながら、彼女は今日もトラブルに巻き込まれていく。
(本編前置きより引用)
神楽崎風子の下宿人2人が、学校の校庭で突然決闘を始めた。
仕掛けたのは、夢野王国フルーティーナからやってきた夢野皇子。決闘の目的は、下宿人は2人もいらないという勝手な理由である。皇子は「魔法のプリンス、リリカル・チェリー」。対する一条寺一郎は「改造人間ドルキオン」。これから始まろうとしている、戦いを考えると大家として頭が痛い。
メルヘンの国からやってきた皇子。皇子は魔法が扱えるのだ。そしてその魔法の矛先は、なんと風子に。風子は魔法をかけられ、巨人になってしまった。巨人風子を使って一郎と対決しようというのだ。
校庭にいた一郎が上を見上げると、そこには空の代わりに巨大な苺模様が。慌ててスカートを押さえてしゃがみ込む風子。その行動は、足下の生徒たちにとって、まるで怪獣のように思えた。
そんな騒ぎをよそに、風子の肩に飛び乗る皇子。皇子の目には一郎の姿しか映っていないのだ。
「さあ、ジャイアント風子さん。正義の鉄槌を下すのです。」
皇子は、ノリにノっている。しかしそれをそのまま風子が許すはずもなかった・・・
■解説
いのうえ空氏の作品は、どの作品も元気いっぱいです。作品もSFとファンタジーの要素を取り入れながら、時代劇あり、学園ものあり、格闘技ものあり、もちろんファンタジーありと挑戦的に作っています。そのどれもが、いのうえ氏の色濃く出たものばかりです。
今回紹介した作品も、そうしたいのうえ氏らしい作品です。
いのうえ氏の描く特徴ある可愛い少女が、今回は大盤振る舞い(!?)で巨大化します。脇役である皇子が、主人公である風子を巨大化させてロボットものよろしく使いこなそうとするところが面白い。それに加えて、風子は同意して巨大化したのではなく、また洗脳されてもおらず、そうした片手落ちともいえる皇子の魔法ぶりが、作者の工夫のしどころと言えるでしょう。
さて、無理矢理巨人にされてしまった風子ですが、彼女には片思いの先輩がいました。その先輩と巨人風子が対面するのですが、こうしたシチュエーションは後発の「ちょ\x{301c}巨大17歳・カレン」にも出てきます。少女が巨大化して巨人になってしまうケースにおいて、これがひとつのパターンになろうとしているようです。
■月刊ドラゴンマガジン
初出雑誌を確認したので情報として追加しました。
2007.05.05
■ゼロインZEROいのうえ空短編集
[img]■いのうえ空 Special
[img]■月刊ドラゴンマガジン 1998年9月号
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