オジロマコト 作品
公開日:2006.11.07
更新日:2006.11.08
■あらすじ
はじめに言っておこう・・・・
全長7m(Tレックス並み)のミユは、つきあいはじめて一ヵ月の頃は全長158cmだったのだが・・・
そう
それは突然おとずれた!!
高校生のしんは陸上部で高飛びの選手。部活の帰りは、つきあっているミユと一緒に家まで帰る普通の高校生だ。キスしたいがキスが怖い、ふたりはまだそんな関係だった。そんなある日、ちょっとしたことから気まずくなったふたり。電話を待つしんに、ミユから掛かってきた電話。
会いたいとしんにすがるミユの電話を受けるしんの背後には、窓ガラスいっぱいのおっぱいが。そしてしんの部屋を崩すように巨大な手が、しんに向かってのびてきた。
突然巨大化したミユ。しんは成す術も無く、運命に翻弄されていくのだった・・・
■解説
< 高校生らしい生活の中で、高校生らしいつきあい方をしている二人には、ある種の焦燥感が生まれていました。それは相手への気持ちが倦怠したというようなことではなく、二人の関係の中で生まれたある種のハードルを越えることができないことから生まれたものです。肉体関係という艶かしいものではありません。相思相愛といえども、互いに理解できないちょっとしたところに気がついたときなどに生まれる類いのものです。そうしたなかなか超えられない一線に対する奇妙な焦りが、この作品ではうまく表現されています。
この作品では、その一線がハードルとしていかに高いかを少女の巨大さで表現し、物語をクライマックスにつなげています。ひとりの人間が社会的成長をする上で、様々なハードルを越えていかなければなりません。しかし困難の伴ったハードルも、一度超えてしまうとその困難さは忘れがちになります。しかし楽に飛び越えたハードルよりも、困難の伴ったハードルの方が実となっていることに間違いありません。何事にもめげずに、前向きに関係を強めていく二人の姿が、巨大な少女と高飛びの選手という象徴を使って見事に描き上げた作品だと思います。
オジロマコト氏の短編は、度々ヤングマガジン紙に掲載され、それは作品「カテキン」の連載へと繋がりました。単行本カテキンの販売が好調のようですが、この作品を含む短編をまとめた短編集を単行本として出版して欲しいと願うのは私だけでないでしょう。
■ヤングマガジン 2005年 No.19
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