小びとの森の物語

原題:THE GNOME-MOBILE

Robert Stevenson 監督作品

あらすじ

大手木材会社のアルーニー材木会社の社長で、ワンマン社長として腕を奮っているD・J・マルーニー。ですが、孫たちとっては優しい祖父でした。D・Jは、孫のエリザベスとロドニーと一緒に、自動車で旅行をする計画を立て、準備も含めて楽しみにしていました。長期休暇を取るためスケジュールを調整し、さらに1930年式のロールスロイス・ファントムⅡまで購入していたのでした。そして、サンフランシスコ空港で孫たちと合流したD・Jは、そのままシアトルへと旅行にでかけたのでした。

途中、レッドウッドの森でランチにした一行、エリザベスが辺りを散策していると、ジェスバーと名乗る若いノームに出会いました。ノームがとても困っている様子なので話を聞くと、一緒に住んでいる943歳になる祖父のノビーが、ジェスバーのお嫁さんとなるような女の子がこの辺には居ないため、心配のあまりノビーが病気になって困っていると言うのです。

エリザベスはジャスパーの案内で、ノビーのところに着くと、実際ノビーは弱々しく横たわるだけでなく、その姿は半透明になっていました。エリザベスは祖父に助けを求め、みんなで一緒にノビーのいる場所に行くと、ノビーは問題の根本が会社が木を切りすぎたために森からノームが消えてしまったことだとマルーニーに訴えてきたのでした。ノビーはジャスパーの代で、森からノームが居なくなってしまうことをとても危惧していたのです。

D・Jはノビーの活力を取り戻すため、またノームたちの絶滅を防ぐために、2人のノームと一緒に花嫁探しをすることを約束。こうして3人の人間と2人のノームの奇妙で不思議な冒険は、ノームモービルと名付けたロールスロイスとともに始まったのでした。

解説

今ディズニー映画といえばアニメーションや3DCGが主流ですが、この映画の公開当時のディズニーは、メアリー・ポピンズの成功を受けて次々と新作長編映画を実写で作成していました。この映画もそのような一連の作品のひとつになります。いずれの作品も特撮は丁寧に処理されていて、当時のレベルとしては非常に高いものと言えます。

お話は、前半ののんびりした雰囲気で始まりますが、ノームたちがサーカス団に誘拐されてしまう辺りから、冒険心に富んだハプニングが次から次へと起きます。子供向けの映画ですが、ペース配分は大人も楽しめるように工夫され、昨今の映画になれた大人でも十分に楽しめると思います。

少しネタバレになりますが、最後には美女ノームたちがいっぱいのノームの集落に辿り着き、若い男が居ない集落でジェスバーは美女たちにもみくちゃにされて羨ましい限りです。ディズニー映画ですから、お色気は抑えられていますが、大人向けのサービス精神も忘れていないのは流石です。

英語オリジナルの会話では最初にジェスバーに出会うシーンで、彼らのことをレプラコーンと呼んでいます。ノームと呼び名が変わるのは、子供たちがロールスロイスをノームモービルと名付けてからになります。

レプラコーンはケルト人の伝承であるのに対して、ノームはヨーロッパで広く伝わる伝承なので、細かく言えば違いがありますが、この映画では小びと全般の総称として扱われています。ケルト人は紀元前300年ごろヨーロッパからイギリスを経てアイルランドに移住しました。アイルランドでは、そのごのキリスト教の流布に対しても、レプラコーンを始めとする精霊にたいする信仰を断つことはしませんでした。そのためにアイルランドには、数多くの巨人やこびとが登場する話があります。そうした背景を考えつつ改めてこの映画を見ると、また色々と見えてくるものがあり、緻密な演出には驚かされます。

Published : 1999.05.27
Update : 2020.09.14

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