それは一年も前のこと、俺はたった一人でアルプスに挑んだ時の話だ。
足を折って一歩も動けなくなった。通信機はなし、食料も食い尽くした。死を覚悟したとき、彼女はやってきた。
彼女はとても大きく、村に住むことが出来なくなりアルプスの奥深く、人を避けて住んでいたのだった。彼女は私を手のひらに載せ、自分の住処に連れていってくれた。
それから2ヶ月の間、手厚い看護を受けた俺は、すっかり回復した。
それは一年も前のこと、俺はたった一人でアルプスに挑んだ時の話だ。
足を折って一歩も動けなくなった。通信機はなし、食料も食い尽くした。死を覚悟したとき、彼女はやってきた。
彼女はとても大きく、村に住むことが出来なくなりアルプスの奥深く、人を避けて住んでいたのだった。彼女は私を手のひらに載せ、自分の住処に連れていってくれた。
それから2ヶ月の間、手厚い看護を受けた俺は、すっかり回復した。
優しい巨人の話です
エリーゼが巨人症のために大きいという下りがありますが、巨人症という設定にはムリがあります。もっともこれほどの大きさの人間が登場した段階で、科学的に無理があるのです。無理に説明的に巨人症を持ち出す必要はなかったでしょう。巨人の女性と普通の男の話というだけで十分な魅力がある上、この特殊なシチュエーションを除いても面白く読めそうな話であるので、エリーゼの巨大さに説明は必要なかったかもしれません。
男がエリーゼに本当に惚れたかどうかは少し怪しいのですが、それでも何かしらの愛情をもってエリーゼに接していたのは間違いりません。手厚い看護に応えた男は、エリーゼとセックスするようになりますが、もちろん普通のセックスになるはずもありません。あまりにも身長差のある男女のセックスでも、エリーゼは満足感を得ていたようですが、男にとっては満足を覚えるようなものではなかったに違いありません。愛を深めるのにセックスは必要不可欠ではありませんが、重要な行為であることは間違いありません。男は共同生活を諦め、エリーゼに黙って立ち去ってしまいます。この辺りが妙にリアルです。
しかしそれは、男性の側から見たセックス感に他なりません。支配的なセックスを望むことができなかった男の敗北感です。もちろん、支配されたいという欲求がある男性もいることでしょう。しかし彼は違ったのです。一方女性はどのように感じていたのでしょうか。この作品は、それをうまく描いていると思います。こういった話は普通ネチネチとした感じになりがちなります。それをさらりと描き上げられたのは、女が巨大でおおらかな印象を上手に利用しているからです。一歩間違えばストーカー女になるところですが、エリーゼの純朴な感じが好印象です。
記事公開日:2000.02.06
記事更新日:2004.09.17
発行 | コスミックインターナショナル (K.K.コミックス) |
初版 | 1992年7月11日初版 |
ISBNコード | ISBN4-88532-278-2 |
価格 | |
サイズ | A5・平綴 |
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