目を開け 娘よ
起きて わが
声に応えよ。
暗闇の彼方から呼び覚ます声は、魔道士のものだった。魔道士は毒を盛られた酒を飲み、死を目前にしていた。魔道士の宝物目当てに、宰相が魔道士を亡き者にしようと謀ったのだ。魔道士は呼び覚ました巨大な娘に、遺言を託した。
「おまえの生命ある限りわが宝物を略奪者どもの手より守りぬけ…」
遺言を託した魔道士は、そのまま大地にくずれた。その骸を乗り越えて娘は、宰相の率いる軍隊に向かい、そして戦いを始めた。
巨大な娘は無敵だった。
宰相率いる軍隊は娘に向かっていったが、巨人に挑むにはあまりにも非力だった。それでも宰相はあきらめず、新しい兵器を手に入れ、何度も戦いを挑んのだった。しかしすべては巨人の前にして徒労に終わった。
そして長い年月が経ったある日、宰相は白くなった髪となりて再び娘の前に現れた・・・