Miscalculation

「計算違い」

Stephanie Sanderson 作品

あらすじ

彼女は金属の船の中で静かに眠っていた。長い宇宙旅行では、冬眠して移動することは珍しいものではなかった。彼女は無事に任務を終えて、地球に戻るところだった。

そのころ、地上の司令室では彼女を乗せた船をモニターし誘導していた。計器類はすべてが順調であることを示していたがが、管制官はモニターを見ながら何かがおかしいと感じていた。しかし、それが何であるかははっきりしなかった。そして、彼女は冬眠状態から起こされた。

「これで最後。この仕事が終われば、のんびりすごすことができるわ!」

船は地上で難しい任務をこなした彼女を歓迎しようと集まった人々の前に無事着陸した。そして扉が開き彼女が船から出てきた。彼女が目にしたのは空ばかりだった…いや、彼女の足元には大勢の人々が驚きの面持ちで彼女を見上げていた。彼女は巨人になっていたのだった・・・

解説

主人公の女性には帰りを待ちわびていた夫がいるのですが、物語の後半は、巨人の妻を持つ奇妙な関係について描かれています。

夫の収入では、巨人となってしまった彼女の生活の面倒を見ることができません。単純に計算すると彼女の胃袋は、普通の人の1000倍の容積を持っているのですから、普通の収入では、彼女の食費すら面倒を見れないはずです。そこで巨人のとして有名になってしまった彼女がTV出演や講演会を開いて高収入を得ることになるのです。

お金持ちになった彼女は、彼女のスケールで造られた家に住むことにするのですが、巨大な家は彼女にとっては便利にできていても夫にとっては、すべてが理不尽な大きさなのです。そうした巨大な家具は、夫に自分が矮小な存在であるかのような錯覚を起こさせ、夫はストレスをためていきます。夫のストレスの原因はそれだけではなく、有名人であり高所得の彼女の存在すべてが、劣等感をあおる存在でしかなく、すべてがストレスのもとになるあたりが、非常にコミカルに描かれています。

文句ばかり言うようになった夫を見ても、小さくてかわいいのですべて許すことができてしまう彼女。そんな関係も夫にとっては苛立ちの種でしかありません。そうした夫婦生活のクライマックスには、驚くような愛情表現がまっています。しかしそれをここで書いてしまうと、もしあなたがこの作品を手にしたときの楽しみが無くなってしまうので、ここでは伏せておくことにしましょう。

記事公開日:2000.04.11
記事更新日:2004.09.17

BIG 'UNS

販売出版 AC Comics
発効日 1998年
価格 $9.95
サイズ 変形A5・中綴

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