Lionheart of Avalon

The Avengers シーズン3より

あらすじ

路地で着替える若者が2人。面倒くさそうにスーツに着替えた。実は彼らこそがヒーロー、キャプテンアメリカとホークアイだった。着替えを終えて現場に颯爽と現れた彼らが目にしたのは、空高く持ち上げられた現金輸送車と強盗団だった。巨大化したワスプが強盗団を一網打尽にしたところだったのだ。

しかし肝心の強盗団の主犯はまだ捕まっていなかった。巨大な体に慣れていない彼女は、主犯に脚をすくわれ建物の間に倒れ込んでしまった。手こずるワスプ。彼女は忽然と姿を消してしまった。消えたわけではなかった。彼女は元の姿に戻ってキャプテンアメリカの手の中にいたのだった。彼女の本当の姿は、手のひらに乗るほどの小さな体なのだ。彼女の体は冷たく、そして彼女は気を失った。

明くる日、交通事故を処理するシーハルクの目に巨大なワスプが映った。ビルよりも背が高い彼女の姿は、街のどこにいても見ることができるのだ。そしてそれは、そこで事件が発生していることを意味していた。到着したレスキュー隊に事故処理を任せると、シーハルクはワスプを目印に事件現場に向かった。

そんな彼らの姿を見守る目があった。ヒーローにあこがれる少年たちの目だった。その少年たちと仲良しのマーリン。彼女の顔には隠すことのできない大きな傷があった。やがてその傷が彼女の運命を大きく変えることになるとは、このとき誰も知る者はいなかった・・・

輸送車を襲った犯人たちは捕まったが、おとなしくしている彼らではなかった。脱走を図った。再び巨大化したワスプは巨大な体で脱走者の乗る飛行機の飛行を阻止しようと試みた。飛行の阻止には成功したが、主犯には逃げられてしまった。いや主犯は逃げられなかった。彼の行く手を阻むように、見たこともない赤いスーツをまとった女性が現れたのだった。彼女は主犯を切り倒してしまった。彼女の正体は・・・果たして正義の味方なのだろうか・・・

ワスプ巨大化

ワスプは縮小化して飛び回るイメージが強いキャラクターですが、彼女の能力はサイズチェンジングなので、巨大化もできるんです。

ワスプの本名はジャネット・ヴァン・ダイン(Janet Van Dyne)。後に結婚してジャネット・ピム(Janet Pym)になります。相手はアントマンことピム博士(Dr. Henry "Hank" Pym)。博士の縮小化できるようになる薬を受けて小さくなれる能力を持ちました。ちなみに飛翔能力はなく、スーツに取り付けられた飛翔装置で飛び回ります。後にアントマンは縮小化薬が巨大化することに使えることを発見します。こうしてアントマンはもちろんワスプも巨大化できるようになったという訳です。

アントマン(蟻男)が巨大なのはいくらなんでも抵抗があったのでしょう、巨大化した時のアントマンの呼び名はジャイアントマンに変わります。ところがワスプ(スズメバチ)は巨大化してもワスプと呼び名は変わらないようです。

5話連続のエピソード中、全て巨大化して犯人と格闘するワスプの姿があります。ワスプのイメージである小さくなって羽で飛ぶという姿は、このエピソードには全く見ることが出来ません。内容を反映していないという意味において、表紙のイラストに偽りありです。

ワスプの愛称は、小さい体で飛び回り、体の小ささに似合わないパワフルさからきています。そうしたイメージは、このエピソードにはありません。このエピソードではメインキャラクターともいえる多い出番で目立つワスプですが、巨大ヒロインとしての活躍ぶりが描かれているという訳ではありません。ほとんどのシーンを巨大化した姿で登場しますが、巨大化しても上手く立ち回れず、それどころか被害を拡大してしまうワスプに、悲壮感漂う焦りが感じられて非常に興味深い物語になっています。

アベンジャーズについて

このエピソードは、最近のアメリカンコミックスの傾向を如実に表しています。正義の重みを受け止め、超人的能力を持つ者の責任を必死に務めようとするスーパーヒーロー達に、以前のような単純明快さはありません。時代の流れでしょうか。現在のアメリカンコミックは、リアルなヒーロー像を追い求める風潮にあるようです。

アメリカンコミックスの最大の特徴は、各出版社が1つの世界を持っており、その世界の中で様々なキャラクター達が物語を展開しているという世界観にあります。マーベル社のヒーロー達は皆、同じ世界に住んでいるのです。当然、顔を会わすこともあります。という訳で、マーベル社の主立ったヒーローやヒロインが集結したのがアベンジャーズという訳です。DCコミックス社のジャスティスリーグ(参考:シークレット・ソサエティ)同様、各コミック社がこんな案配の世界を持っています。また、X-Patrol(Destiny Awits...)のようにコミック社の世界の枠を超えてコラボレートすることもあります。イメージ社だけは別ですが。

アベンジャーズの名の由来は、ワスプの思いつきです。主要メンバー以外は、入れ替わることの多いアベンジャーズは、まるでロングランを続けるTVドラマのようでもあります。言うならばアメリカンコミックス版仕置人とでもなるのでしょうか。

記事公開日:2006.11.27
記事更新日:2006.11.27

Avengers Vol. 4: Lionheart of Avalon TPB

出版 Marvel Enterprises
初版
価格 米国実勢価格$70前後
備考 総集編(77号〜81号)
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Avengers V3 #77 (Lionheart of Avalon 1/5)

発行 MARVEL
初版 2004/03
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Avengers V3 #78 (Lionheart of Avalon 2/5)

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初版 2004/04
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備考 ワスプは登場するが巨大化シーンは本号のみ無し

Avengers V3 #80 (Lionheart of Avalon 4/5)

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Avengers V3 #81 (Lionheart of Avalon 5/5)

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サイズ B5・中綴

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