巨大少女を核とした作品はこれまでもありましたが、この作品はその中にあって埋もれることのない一級品です。名作になるかは、今後の物語の展開を待たなくてはなりませんが、その可能性は十分にあります。
この作品は、これまでの巨大ヒーローをはじめ巨大少女物のオマージュとしても良く描かれています。パロディやオマージュ要素を盛り込むためには、その系統の物語の知識が相当なければできないことです。この作品を読めば、作者の知識は非常に優れていることは明白で、良く研究された上で描かれています。それだけではなく、登場人物達が生き生きと描かれていて、ラブコメディとしても十分楽しめる仕立てには脱帽です。
しかしそれだけではありません。この作品は他の作品と一線を画しているところがあります。
巨大ヒーローといえばウルトラマンが代名詞として使われるほど有名ですが、この作品もウルトラマンを意識して描かれています。しかしウルトラマンに代表される巨大ヒーロー達が、極端に人との関わりを避けたのに対して、この作品の巨大ヒロインは人との交わりを積極的に行いたいと思っているのです。しかしこの作品が他の作品と大きく違うのは、それだけではありません。この物語の巨大ヒロインの大きさは変化しないのです。大きくなったり小さくなったりしないのです。常に大きな存在、巨人であるのです。
現在掲載中の作品ですから、今後もまなが大きいままであるかは不明ですが、巨大なまま社会にとけ込もうとする少女の姿は、他に類を見ない話です。もちろん同人誌などでは描かれた世界観ではありますが、その同人作品ですら、ここまで真っ向から挑戦した作品は少ないと思います。
巨大少女のラブコメと言えば、これまでにもMORUMO 1/10やデカヒミそれにちょ〜巨大17歳・カレンなどをはじめいくつかあります。しかし彼女達は、衛宮まなのような常に巨大な姿という訳では無く、状況によって大きさを変えることができます。大きさを変えて普通の大きさの少女のときがあるというのは、物語に大きく影響しますので、本作品と同じ設定とは言いがたい所があります。単に巨人の少女であるというだけなら、巨大美少女上陸などもありますが、この作品のような巨大少女と普通の少年との関係を見る事はありません。巨人の女性と普通の男性との関係ということだと、最も近いと思えるのはマリィ・ザ・サイクロンですが、マリィは唯一の巨人ではなく巨人族の一人なので、やはり本作品と同じ関係とは言えません。
つまり、世界でただ一人の巨人少女と普通の大きさの少年との関係を描いた作品は、ありそうでないのです。そうした意味で、この作品にはこれまでの作品と違う世界観で挑戦していると言えます。巨人の少女と普通の大きさの少年が、どのようにつきあっていくのかとても気になります。
今後の展開がとても楽しみな作品です。