「幸運を呼ぶタマゴさ…」
大通りの道ばたの露店。アクセサリの中にそれはあった。女性運が上がるのは無いかと聞いて、露天商の男が取り出したのは、幸せの卵と書かれた札が貼ってある卵だった。代金はいらないと言う。青年は持ち帰る道がてら卵に願いをかけた。
「彼女ほしいっ」 その時、手の中でかすかな声を青年は聞いたような気がした。
部屋に戻った青年。卵に貼られた札を剥がしてみた。そこには、小さなひび割れが。そして軽い卵の中で何かが動く気配を感じた。気味が悪いがそれ以上に好奇心が勝った青年は、そっと卵を割ってみた。
中には手のひらに収まる小さな女性。その女性は、大きさを無視すれば、子供などではなく成熟した女性に見える見事なプロポーションを持っていた。願いが叶ったのか?
どうやら水を欲しがっているらしい。声が出ないようである。青年はとりあえず冷蔵庫からペットボトルを取り出すと、女性の前に持ってきた。持ってきたが、どうやって水を与えようか悩んでいた時、青年の手からペットボトルが滑り落ちた。女性の真上へと落ちるペットボトル。不視儀な事に、今は無くなってしまった卵の殻があるあたりで、ペットボトルは女性と相対的にちょうど良い大きさに縮んだのだ。そして女性の手に…
青年はおそるおそる手を伸ばす。今は無き卵の殻に触れた瞬間、ペットボトルと同じように女性と同じ大きさに縮んでいた。目の前には女性。見渡すと巨大になった部屋。たった二人きり。男と女。それは甘い甘い時間のはじまりだった。そしていつしか夢の世界に青年は入っていった。
次に青年が目を明けた時、そこにはさっきの女性がいた。巨大になって・・・