元ネタは、まぎれもなくボロワーズです。ボロワーズは、小説家メアリーノートンの手によるイギリスの児童小説です。日本でも「床下の小人たち」という邦題で翻訳されているので、ご存知の方も多いと思います。イギリスでは何度かテレビドラマの題材として取り上げられています。もちろん映画化(ボロワーズ/The Borrowers)もされています。
ボロワーズとは、人間の生活圏で密かに生活を営む小人族の名前です。人間達の物を拝借(borrow)することからボロワーズという呼び名になっています。借りぐらしの小人たちと翻訳されていますが、それがこの作品のタイトルとなっています。
この作品は成人指定作品ですから、当然のようにロミとアンリエットは絡みます。人形のような小人の少女と人間の少女の絡む姿は、実際こうして作品化されると想像以上にエロティックな感じです。絵や構図そのものはそのものずばりという表現が多く、とてもサイトでご紹介できないようなコマが多いのですが、それでいて少女の無垢な雰囲気が損なわれていません。
ふたりの少女の体格差を乗り越えた友情物語というより、体格差こそが原動力となっている性体験といったところでしょうか。体格差があればこその悪戯が描かれています。この作者の他の作品にも無邪気に性欲を満たす姿が描かれていますが、この作品でのまるで人形と戯れているかのような描写は、他の作品と比べて少女の無邪気さを増すことになっています。
小さなアンリエットに比べ圧倒的に体の大きくて力の強いロミが、アンリエットを文字通り人形扱いすることは可能です。ロミにとってアンリエットは生きた人形のようであり、そうした人形らしい遊びも描かれています。ですが、一方的に道具扱いしている様子はありません。互いに相手を自分と同じ女の子として見ています。これほどまでに体格差がありながら、ふたりの関係が崩れていかないのはあり得ない幻想なのかも知れませんが、妙な説得力がこの作品にはあります。
男を知らない無垢な体でありながら性への興味が増した少女達の出会いは、普通の少女達の出会いとは違い、秘密で満ちた不思議な体験そのものです。ロミはアンリエットの存在そのものを秘密に、一方アンリエットはロミとの関係を秘密にと、二人の仲は触れてはならない掟を犯すという、背徳の秘密を共有することで急速に親密になります。互いに違いすぎる体の大きさは、体そのものに興味が移りますが、それが至極自然な流れになっています。むしろ普通の少女達が出会う話では、どこかぎこちない流れに成ってしまう所です。そして単純に性欲を満たす物語ではなく、大きな体、小さな体、それぞれを比較しながら、同じ少女であることを確認しつつ自分というものの存在を認識していく過程が、妙な現実的な説得力の源となっているのかもしれません。