ウィンクス

Winks

たしろたくや 作品

あらすじ

本郷タカシは料理が好きだった。もちろん食べるのも作るのも。今日は母の帰りを待ちながら、カップケーキを作っていた。その匂いに引かれてか、どこからか2人の小さな女の子がキッチンに入ってきた。

その2人は本当に小さかった。どのくらい小さいかというと、机の上を走り回れるほど小さかった。2人はタカシの作ったカップケーキを食べ満足しているようだった。

「正体を明かしなさい!」

最初、度肝を抜かれ、2人の様を眺めるだけのタカシだったが、落ち着きを取り戻すと、机の上の2人に向かって質問した。

「ウィンクス!」

と名乗った2人は、それぞれをミャウとミューという。地球を宇宙怪獣から守るためやって来たのだという。彼女らの話では、これまでの怪獣は、地球を狙う別の宇宙人が、古代生物の化石から復元し巨大化させたものだというのだ。この怪獣は弱く、地球人の手でも葬ることは可能だったが、これからは本格的な宇宙怪獣を直接送り込んでくるのだという。

そう説明している2人の後ろから声がした。

「まあた怪獣です。しかしこれまでに見たこともないタイプです!」

声はテレビの臨時ニュースだった。2人の言った通り、本格的な怪獣が送り込まれてきたのだ。

「キミ達あんな怪獣と、どーやって戦うんだい?」

タカシの疑問ももっともである。怪獣はビルよりも大きく、彼女達は机に乗るほどに小さい。

「自分で戦うのに決まっておろう。ぶん殴ってケリ入れてー!!」

そう説明するミューの横で、ミャウは巨大化した・・・

解説

人間よりも小さな宇宙人が人間よりも巨大化するという設定は、ありそうで実はほとんどありません。物語としてまとめるのに巨大化縮小化の両方を1つの話に入れ込むと、その設定の説明に話が長くなり、短編では扱いきれなくなるからでしょう。改めてこの作品を読むと、一話読み切りの短編中に上手くまとめてあることが良く判ります。

小さな宇宙人がちょこまかと登場した後に、巨大な宇宙人が登場すると非常に豪快な感じがします。作者の意図がこの辺りにあったのか、豪快なパンチラが描きたかったのかは判りませんが、堂々とした巨人の姿は印象に残ります。たしろたくや氏の物語は皮肉をまぶす傾向があるので、小さな者が大きな力を秘めているというのは、氏の得意なところであると言えます。

作品の描かれた当時、ハリウッド映画の「エイリアン」全盛期でした。登場する怪獣がエイリアンに似ていますが、こうした傾向は当時のまんがには多いものでした。もりばやしりんご氏のまんが作品「ウルトラマン子」にも、そうした共通点が見られます。作品ウルトラマン子は、初掲載が同人誌ということもありエイリアンそのままの姿で登場していいますが、さすがに商業誌では全くそのままとはいかずにアレンジされた姿で登場となっています。

記事公開日:2000.03.13
記事更新日:2004.09.17

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初版 1994年8月10日
ISBNコード ISBN4-89799-139-0
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ファンロード 《1993年4月号》

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発行日 平成5年4月1日発行
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価格 定価600円税込
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