変身する主人公本条由姫(ほんじょうゆき)は、地球警備局異生物攻撃隊「CAT」の一員です。あるきっかけから正義の宇宙人より、超人に変身できる力をもらいます。もちろん、変身できることは秘密にしています。
ある日、異星人に操られる人間を発見しますが、撃退するどころか逆に襲われてしまいます。でも先に異星人に捕まっている村山隊員の目の前では変身することができません。
やがて異星人は巨大化して街で大暴れ、破壊の限りを尽くそうとします。そのとき村山隊員のすきを見てフェアリオンに変身することができた由姫でしたが...
解説
この話で主人公が巨大化して手に入れたものは何だったのでしょう。と、真剣に考えるような作品ではなくて、お気楽なパロディまんがですね。この作品で巨大化する意味はパロディ以外の何者でもありません。が、なぜ巨大化が面白みを増すのでしょうか。
Dr.スランプの博士も巨大化して笑いを誘っていましたが、その話とは笑いの質が明らかに違いますね。パロディということを考えると、ハイスクール奇面組の「ワラトルマン」と同じ質のものですね。本質的な意味で言えばウィッチーズ番外編の「ちるどれん」に同じ面白さを見つけることができます。いや成人指定ですので、どちらかといえば「ULTRA-M」でしょうか。
結局ウルトラマンのパロディであるこの作品ですが、30mに巨大化した由姫が「超スーツ」によって力を得ているだけなので、姿に変化がなく、巨大化しただけの姿をさらします。しかし、だれ一人その正体を見抜くことができません。こういうのを変身と呼んでしまうことはどうかと思いますが、これもギャグのうちでしょうし軽く笑えるノリがあります。
それで思い出したのが、ゼネプロ制作、庵野秀明監督・主演の「帰ってきたウルトラマン」。あの短編映画も、主人公がそのままの姿で巨大化して戦うのですが、だれひとり正体を見抜くことができません。この作品と似てますね。庵野氏の作品にはウルトラマンのパロディというだけでなく、ウルトラマンに捧げるオマージュの部分もありました。一方、上藤氏のこの作品には、オマージュの部分を感じることはありません。もっともこの作品は成人コミックですので、エッチなシーンを信条としてパロディに徹しているほうがすっきりとしていると言えます。はっきり言って作者の趣味でしょう。ここまで趣味を出されると、潔くって気持ちよいですね。そして結局この巨大ヒロインは、怪獣にやられ、さらには味方にまでおもちゃにされてしまうのでした。あっっと、もしかすると彼女は、実はおもちゃにされた振りをしているだけかもしれないですね。